2022年06月10日 |
東北大、謎の多い交連下器官の特徴を解明 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:東北大学 |
交連下器官は特徴的な構造を持ち、様々なタンパク質を脳脊髄液中に分泌する分泌器官でもあることが報告されている。交連下器官は、原始的な魚からヒトを含む哺乳類まで、全ての脊椎動物に存在しており、ヒトでは4歳以降になると退縮するとされているが、その機能はいまだに不明な点が多い。 東北大学大学院医工学研究科の稲田仁特任准教授らの研究グループは9日、成体マウスを使い、交連下器官の細胞が、神経系の様々な細胞を生み出す幹細胞である神経幹細胞に似た特徴を持つと報告した。 未だ機能が明らかになっていない脳の交連下器官の細胞について、成体の脳でも神経上皮細胞の特徴を保っていることを明らかにした。 その一方で、交連下器官には活発に分裂している細胞は存在しなかったことから、これらの神経幹細胞の特徴を持つ細胞は、細胞分裂について休眠状態にあることが示唆された。今後、交連器官の新しい機能の解明につながると期待される。本研究成果は5月31日に国際科学誌「Journal of Anatomy」に掲載された。 <用語の解説> ◆交連下器官とは:大脳半球を連結する繊維の一つである後交連の下にある脳室周囲器官。分泌細胞に特徴的な構造である細胞内顆粒を持つ。1900年代から報告があるが、その機能については未だ不明な点が多い。 ニュースリリース https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20220609_01web_brain.pdf |