2022年06月13日 |
東大、細胞にかかるストレスと、がん発生のしくみ解明 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:東京大学 |
東京大学大学 院医学系研究科の安原崇哲助教と、マサチューセッツ総合病院との国際共同研究グループはこのほど、細胞に紫外線や低温刺激などのストレスを与えると、細胞の核の中にある核小体とよばれる部分にタンパク質とRNAからなる凝集体(かたまり)が形成されることを明らかにした。 この「かたまり」は我々のDNAの中で特に活発に読み出されている、タンパク質の設計図部分を巻き込んで核小体周辺に集合させ、複数の設計図部分が空間的に近づいてしまうことがわかった。DNAに損傷を与えた状態で「かたまり」を誘導するストレス与えると、複数のDNA損傷部位が互いに近づき、間違えた末端同士をつないでしまうことで2つの遺伝子が融合した設計図ができてしまった。 こうした異常な設計図からできた融合タンパク質の一部は、がんを発生・進展させることが知られており、今回発見した現象は細胞にかかるストレスが、がんを発生させるメカニズムの一つと考えられる。 今回、種々のストレスが我々のDNAに異常を発生させるしくみが明らかになったことで、がん以外の様々な病気の原因の解明にもつながると考えられる。 本研究成果は、米国科学雑誌「Molecular Cell」のオンライン版に掲載された。 ニュースリリース https://www.m.u-tokyo.ac.jp/news/PR/2022/release_20220607.pdf |