2022年06月21日 |
理研、藻類の太陽光エネルギーを吸収する仕組み解明 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:理化学研究所 |
理化学研究所放射光科学研究センターの米倉功治グループディレクター(東北大学多元物質科学研究所教授)らの研究グループは20日、太陽光エネルギーを高効率に吸収する藻類の光捕集タンパク質複合体「フィコビリソーム」の立体構造を明らかにしたと発表した。藻類の太陽光エネルギーを吸収する仕組みを解明した。 本研究成果は、光合成の初期過程である光エネルギーを吸収する仕組みを解明した。藻類の光捕集の仕組みを理解し、この知見を人工光合成研究に取り入れることで、高効率光エネルギー伝達デバイスの開発に貢献することができると期待される。 今回、研究グループは、好熱性シアノバクテリア(T. vulcanus)から単離したフィコビリソームの中心部位であるコアとアンテナ部位である棒状のフィコシアニン・ロッドのそれぞれについて、クライオ電子顕微鏡を用いた単粒子解析を行った。フィコビリソームの立体構造を解析することで各フィコシアノビリンの周辺環境の詳細が明らかとなり、そのエネルギー伝達システムが明らかにされた。 本研究は、科学雑誌「Nature Communications」オンライン版(6月17日付)に掲載された。 <用語の解説> ◆フィコビリソーム :シアノバクテリアや紅藻、灰色藻といった多くの藻類が持ち、太陽の光を捕集する機能を持つタンパク質複合体。 ◆T. vulcanus( Thermosynechococcus vulcanus ) :生育至適温度が50~60℃程度の中度好熱性のシアノバクテリアの一種で、温泉源に多く生息している。得られるタンパク質は耐熱性のため、植物や藻類が行う天然光合成を調べるための生化学・分光学・構造解析に適している。 ニュースリリース https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20220616_03web_alga.pdf |