2022年06月21日 |
東大、網膜色素変性の原因遺伝子変異を解明 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:東京大学 |
東京大学医学部 健康総合科学科の藤本明洋教授らの研究グループは20日、九州大学および理化学研究所と共同で、日本の失明原因の第二位である網膜色素変性患者15名について、ロングリードシークエンス技術を用いて全ゲノムの塩基配列解析を行い、うち2名に構造変異の一種である大きなDNAの欠損(欠失)が疾患の原因となっていることを解明したと発表した。 同グループは過去にも網膜色素変性の日本人患者1,204名を対象に従来の遺伝子解析技術であるショートリードシークエンス技術で遺伝的原因を調べたことがあるが、その時は7割以上の患者について原因を同定できなかった。 しかし今回、ロングリードシークエンスを用いることで、遺伝性疾患の原因遺伝子変異を新たに同定することができた。ロングリードシークエンス技術は、ショートリードシークエンス技術では解析が困難な構造変異や遺伝子の反復領域の塩基配列決定の同定に長けている。今回の研究で、ロングリードシークエンス技術が、従来の方法で原因が特定できなかった遺伝性疾患の原因解明に有用であることが示唆された。 本研究成果は6月16日に英国科学誌「Journal of Medical Genetics」オンライン版に掲載された。 <用語の解説> ◆ ロングリードシークエンス技術 :DNA の塩基配列を一度に数千塩基以上解読することができる技術。長い塩基配列(リード)を得ることができる。反復領域の塩基配列決定や 50 塩基以上の構造変異の検出が可能である。 ニュースリリース https://www.m.u-tokyo.ac.jp/news/PR/2022/release_20220616.pdf |