2022年06月23日 |
北大、大腸がん悪性化と神経ペプチドの関連解明 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:北海道大学 |
北海道大学 遺伝子病制御研究所の北村秀光准教授らの研究グループは22日、大腸がんの悪性化に関与する新たな制御メカニズムを発見したと発表した。大腸がん患者の腫瘍組織における神経ペプチド受容体NK2Rの発現と生命予後との関連を確認した。 がんの発生や再発、転移能獲得などの悪性化を防ぐことは、がん治療にとって非常に重要となる。今回研究では、一般に痛みやストレスなどによって放出される神経ペプチドの一つであるニューロキニンAの受容体NK2Rが、大腸がん細胞に発現し、生命予後と関連することを発見した。 また、NK2Rの発現誘導とMAPK-ERK1/2を介した神経ペプチドシグナルの活性化によって、大腸がん細胞の腫瘍形成や転移巣形成能が増強することを明らかにした。 さらに自然免疫ジュバント(poly I:C)を担がんマウスに投与するがん治療モデルに対して、神経ペプチドシグナルを遮断する阻害剤を併用投与することにより、抗腫瘍効果がさらに上乗せできることも分かった。 本研究成果により、NK2Rを標的として、大腸がんの悪性化、再発・転移を防ぐ、新たながん治療法開発への応用につながることが期待される。 なお、同研究成果は5月13日公開の「Cancer Science」誌にオンライン掲載された。 <用語の解説> ◆神経ペプチド : 一般には脳や神経細胞が刺激を受けると分泌されるペプチド。通常、神経末端から遊離される。副交感神経の VIP、知覚神経 C 線維のタキキニン類(サブスタンスP、ニューロキニンなど)がある。 ニュースリリース https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/220622_pr.pdf |