2022年06月30日
住化と旭川高専、ターコイズ水素の工業化を加速
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:住友化学

 住友化学は30日、(国立高専)旭川工業高等専門学校と、環境負荷の低いターコイズ水素製造の工業化に向け、触媒探索と製造プロセスおよび副産物である固体炭素の用途開発について、共同研究を加速すると発表した。

 水素は、化学製品などの原料となるほか、燃焼しても二酸化炭素(CO2)を排出しない次世代エネルギー源として、今後ますます重要となる。
 
 水素の製造方法のうち、温室効果ガス(GHG)の一種であるメタンを熱分解して得られる水素をターコイズ水素と呼ばれる。この製法は、副産物としてカーボンナノチューブなど利用価値の高い固体炭素が得られるものの、一方で、メタンの熱分解に膨大な熱を与える必要があることから、効率的な熱伝達が課題となっている。

 旭川高専と住友化学は、2019 年から熱伝達効率に優れたマイクロ波と触媒を用いたターコイズ水素の製造について共同研究を行ってきた。これまでに研究室レベルでの実験により、流動層反応器を用いたマイクロ波加熱による水素製造に成功している。これにより固体炭素の連続的抜き出しが原理的に可能となるため、工業化を加速する重要な成果といえる。今後、旭川高専は、反応の収率向上を目指し触媒探索を行うとともに、固体炭素の用途開発に向けた物性評価などを行う。
 
 住友化学は、旭川高専と共同で開発する触媒の製造や流動層を用いた反応プロセスを確立する。また、先に公表した(2月21日) マイクロ波化学との共同開発に、旭川高専との共同研究の成果を活用して、より高効率な水素製造プロセスの工業化を加速していく方針だ。

ニュースリリース
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1656555558.pdf