2022年07月06日
三井化学、高酸素透過性培養容器 製品化技術確立
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学は6日、三井化学が製造販売する世界唯一の樹脂である TPX の特徴を生かした新しい細胞培養ツールとして「InnoCell(イノセル、高酸素透過性培養容器)」を開発したため、2022年度末を目標に市場投入していくと発表した。7月13~15日、東京ビッグサイトで開催される「再生医療 EXPO 」に出展し紹介する。

 同社はInnoCell(イノセル)を、工業生産されるプラスチック素材の中で、最も高いレベルの酸素透過性を有する TPX(Polymethylpentene,PMP)を用いて開発した。従来の培養プレートに比べ、培養容器底面からの酸素供給を約 200 倍と高効率で細胞に供給することが可能となった。また TPXが持つ高い離型性に加え、精密加工技術により、細胞毒になる化学物質の溶出が抑えられ、薬剤の収着も起こりにくいことから、研究用途だけでなく創薬アッセイツールとしての活用にも適用可能になると考えられている。

 これまで、東京大学の酒井康行教授、千葉大学の伊藤晃成教授をはじめ、培地などの生産を手がける(株)マイオリッジ(本社:京都市左京区、牧田直大社長)などとの共同研究により、肝細胞や心筋細胞のミトコンドリア機能の賦活化に起因する代謝活性の向上や毒性感受性の向上が確認された。

 従来、酸素要求性の高い細胞の培養では、培地中の酸素を補うため、培養皿を振動させたり、培地量を調整するなど、容易にコントロールできなかった。InnoCellにより、酸素供給を簡便に行える新規 in vitro 培養法が実現するため、再生医療研究や創薬開発研究がさらに加速されると期待される。
 
ニュースリリース

高酸素透過性細胞培養容器InnoCell?の製品化技術確立
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1657073554.pdf

Mitsui Chemicals Establishes Technology for Commercial Production of InnoCell?
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file2_1657073554.pdf