2022年07月08日
北大調査、ロシア・カムチャッカ半島の氷河融解進む
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学低温科学研究所の杉山慎教授らの研究グループは7日、人工衛星データによって、ロシア・カムチャッカ半島における氷河の質量変動を明らかにしたと発表した。

 現在、世界各地の山岳地域で氷河の急激な衰退が報告されている。山岳域の氷河は地球上の氷総量の1%に過ぎないが、その氷損失量は南極やグリーンランドの氷床よりもずっと激しく、21世紀の氷河氷床全融解量の80%を占める。だが、ロシア・カムチャッカ半島の氷河については研究例が少なく、氷河変動の正確な理解が求められていた。

 研究グループは今回、人工衛星データを使いカムチャッカ半島全域で氷河の表面標高変化を解析、2000~2016年の氷量変化を測定した。その結果、21世紀に入って半島全域で4.9Gtの氷が失われ、0.013mmの海水準上昇に相当する融解水が流出したことが明らかになった。
 
 また2010年以降は氷河の縮小が特に激しく、毎年1mを超える世界的にも顕著な質量減少が確認された。さらに気候変動の経年変化を解析した結果、同半島における氷減少は今後も加速することが示唆された。
 
 以上の結果は、温暖化とそれに伴う気候変動に対して、カムチャッカ半島の氷河が敏感に反応していることを示している。同研究成果によって、海水準上昇の正確な把握と予測が実現し、カムチャッカ周辺の水文環境の理解が進むことが期待される。
同研究成果は、7月4日公開の「 Journal of Glaciology 」誌にオンライン掲載された。

ニュースリリース
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/220707_pr.pdf