2022年07月13日
東北大、植物の繁栄を支える菌根菌共生の起源を解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

 植物のほとんどは土壌中の養分を効率よく吸収するためにアーバスキュラー菌根菌(AM菌)と共生している。
約5億年前に陸上に進出した植物にとって栄養が乏しい陸上で栄えるためには、AM菌との共生が必須だった。現在でも80%以上の植物がAM菌と共生している。植物は、シグナル物質としてSLを根から分泌し、AM菌に働きかけて植物との共生を促している。SLはまた、植物体内では植物ホルモンとして働き、植物の成長を制御する機能を有している。このように土壌中でのシグナル物質と植物ホルモンという2面的機能をもつSLだが、これまでその起源は知られていなかった。

 東北大学大学院 生命科学研究科の経塚教授らのグループは13日、コケ植物を用いた研究から、陸上植物の共通祖先が獲得した土壌中でのシグナル物質がSLの起源であり、SLが分泌されることでAM菌共生が可能となったこと、さらには種子植物の共通祖先がSL受容体遺伝子を獲得したことで植物ホルモンとして機能するようになったことを実験的に証明したと発表した。
 
 本研究は、陸上植物が繁栄し地球を緑の惑星にすることができた理由の端緒を明らかにした画期的な成果としている。本研究結果は7月8日付の「Nature Communications」誌(電子版)に掲載された。

ニュースリリース
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20220713_01web_sl.pdf