2022年07月19日
九大、映像に合わせて両眼を揃える脳のしくみ解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:九州大学

 人の両眼は、互いに協調して動くことで視界を安定させ、立体感を得ている。しかし、全人口のうち少なくとも5%は、両眼を揃えることに困難を抱えているとされている。だが、視覚映像に合わせて両眼を揃えるために、いつ、どのように脳内ネットワークが働いているかは明らかでなかった。

 今回の研究では、視覚映像に合わせて両眼を揃えるための脳内基盤として、見るための脳部位、小脳、前頭部分にわたる幅広い脳内ネットワークの関わりが明らかになった。

 九州大学大学院人間環境学研究院の光藤宏行准教授、国際医療福祉大学の緒方勝也教授らの研究グループは、右眼と左眼用の映像としてわずかに横または縦にずれている画像を健康な参加者に見せ、脳のごく微小な磁場を測定する脳磁計を用いて、両眼を別々に動かす脳のしくみを調べた。映像に対して眼が動く直前では映像のずれの向きにかかわらず脳活動は似ていたが、眼が動くタイミングでは横方向と縦方向のあいだで異なる脳神経ネットワークが使われていることがわかった。今後、斜視矯正のためのリハビリテーションに活かことが期待される。
 本研究成果は22年7月8日、英国のオンライン学術雑誌「Scientific Reports」に掲載された。
 
ニュースリリース
https://www.kyushu-u.ac.jp/f/48807/22_0715_01.pdf