2022年07月19日
広島大と三洋化、半月板向けタンパク質 治験開始
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:三洋化成、広島大学

 広島大学病院と三洋化成工業は19日、半月板損傷患者を対象にしたシルクエラスチン(人工タンパク質)を用いる新たな治療法の開発が進み、8月から医師主導治験を開始すると発表した。
 
 シルクエラスチンは、生体組織の修復・再生促進の足場としての高い可能性がある機能性タンパク質で、広島大学医学部整形外科学(安達伸生教授)と、三洋化成両者による共同研究成果としている。

 広島大学整形外科学講座では三洋化成と共同で2017 年からシルクエラスチンを用いて半月板再生に対する基礎的研究を行い、半月板再生を促進させる効果があることを見出した。
 
 この結果をもとに、2018 年から(国研)日本医療研究開発機構(AMED)「産学連携医療イノベーション創出プログラム(ACT-MS)」(革新的半月板損傷治療技術の創生研究)、さらに 2020 年 8 月からAMED の「産学連携医療イノベーション創出プログラム(ACT-M)」(半月板損傷根治を目指す革新的治療技術の創生研究)の支援を受け、研究開発を加速させてきた。

 広島大学はこれらの成果をもとに今年6月15日、(独法)医薬品医療機器総合機構に治験届を提出した。これまでの一連の研究により非臨床試験データを取得したことで、安全性ならびに有効性についての非臨床POCが確立できたことから、医師主導治験に移行する。

<用語の解説>
◆シルクエラスチン :天然由来のタンパク質であるエラスチンと、シルクフィブロインを模倣し、遺伝子組み換え技術によって作製された人工タンパク質。特長として、分子内にエラスチン配列を多く含むため、細胞親和性が高く、弾性に富むことから、生体組織の修復・再生促進の足場に適しており、さまざまな再生治療への応用が期待されている。

ニュースリリース
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1658203213.pdf