2022年07月21日 |
東大・解明「骨膜の幹細胞が骨を伸ばす」 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:東京大学 |
脊椎動物の「かたち」を決定している骨格系は、身体を支え運動を可能とする運動器としての役割だけでなく、ミネラル代謝調節や造血といった多様な機能を併せ持ち、生体恒常性の維持に必須の役割を担っている。 骨は、骨を長く伸ばす「内軟骨性骨化」と、骨を太くする「膜性骨化」という2つの仕組みによって成長する。この2つの骨化様式は、それぞれ異なる骨格幹細胞によって担われる独立した現象と考えられてきた。 東京大学大学院 医学系研究科 病因・病理学の塚崎雅之特任教授と高柳広教授らの研究グループは、骨膜幹細胞が膜性骨化だけでなく生後の内軟骨性骨化にも重要な役割を担うことを解明し、骨膜幹細胞の機能障害が早期の骨端線閉鎖による重篤な低身長症と骨量減少を引き起こすことを明らかにしたと発表した。 骨膜幹細胞の数が減少すると、骨が太く成長できないだけでなく骨の伸長も障害されることを見出した。また原因を探索し、骨膜幹細胞が骨化制御因子 Indian Hedgehog (Ihh)を発現していること、これが成長板幹細胞の増殖を促すことで、骨を長く伸ばすことを突き止めた。 本研究成果は、骨格系制御システムの基本原理の理解を深めると同時に、低身長症や骨粗鬆症をはじめとする多くの骨疾患の原因解明や新たな骨再生法の創出につながると期待される。 研究は日本学術振興会、科学研究費補助金や日本医療研究開発機構(AMED)などの支援を得て行った。 ニュースリリース https://www.m.u-tokyo.ac.jp/news/PR/2022/release_20220720.pdf |