2022年08月04日 |
京大、無機化合物の2つの基本構造の共存と制御達成 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:京都大学 |
NaCl(塩化ナトリウム)に代表される岩塩型構造とCaF2(フッ化カルシウム)に代表される蛍石型構造は、無機化合物の基本的な結晶構造。岩塩構造の層(岩塩層)を持つ化合物や蛍石型構造の層(蛍石層)を持つ化合物も数多く知られている。 京都大学工学研究科の加藤大地助教と東京工業大学、東北大学との共同研究グループは3日、この2つの構造ユニットを共存させ、制御できることを発見したと発表した。 研究グループは、光触媒として知られていた酸塩化物の構造解析を行い、蛍石型構造に似た構造を持つ蛍石層(蛍石ユニット)の中に、部分的に岩塩型構造に似た構造を持つ岩塩ユニットが内包されることで、波打った構造を有することを見出した。 フッ素を挿入する反応を行い、岩塩ユニットと蛍石ユニットの複合パターンを変化させ、構造を平坦化させることで光触媒活性が最大6倍と大幅向上した。本成果は、無機化合物の新しい構造の構築と制御法を示したもので、今後、この2つの基本構造を自在に組み合わせることが可能になれば、新しい機能性材料の開発につながると期待できる。 本成果は8月2日に国際学術誌「Advanced Functional Materials」のオンライン版に掲載された。 <用語の解説> ◆岩塩型構造、蛍石型構造とは:イオン結晶を代表する結晶構造。両者の構造では、陽イオンの配置は同じ立方最密充填で並んでいるのに対して、陰イオンは蛍石型構造で四面体間隙サイト、岩塩型構造では八面体間隙サイトを占有している。 ニュースリリース参照 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20220801_04web_photocatalytic.pdf |