2022年08月08日
東北大、ビタミンKの新たな作用と還元酵素を発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

 フェロトーシス(ferroptosis)は脂質酸化依存性細胞死とも呼ばれる細胞死の一つで、近年、アルツハイマー病をはじめとする神経変性疾患や、がん細胞に対する抗がん薬の感受性などに関与することが知られている。世界的に注目を浴びている生命事象であり、これらの病気の治療薬の標的となることが期待されている。

 東北大学大学院 医学系研究科の三島英換非常勤講師(腎・膠原病・内分泌学分野)らの研究グループは、ドイツ・ヘルムホルツセンターミュンヘンとの国際共同研究により、ビタミンKにはフェロトーシスを強力に防ぐ作用があることを新たに発見したと発表した。
 
 これまで50年以上その正体が不明だったビタミンKを還元する酵素も同定した。これまで、抗凝固薬として広く使用されているワルファリン中毒時にビタミンKの投与がなぜ解毒剤となるのかは謎だったが、今回そのメカニズムが明らかとなった。今後は、フェロトーシスが関わる様々な病気の治療薬の開発や応用へと発展することが期待される。
 同成果は 8月3日に国際学術誌「Nature」にオンライン掲載された。

<用語の解説>
◆フェロトーシス(脂質酸化細胞死):2012 年に新たに提唱された、アポトーシスとは異なる制御性の細胞死の型の一つ。細胞膜成分のリン脂質の過酸化によって引き起こされる細胞死。脂質過酸化は酸化ストレスによっても生じるためビタミン E などの抗酸化物質によって抑えられる

ニュースリリース
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20220804_01web_vitamink.pdf