2022年08月24日
東大・北大など「北極海の海氷減少メカ」調査
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東京大学

 北極海の海氷が溶けて減少している実態と、そのメカニズムをつかもうという研究結果が23日発表された 東京大学、北海道大学、国立極地研究所の合同研究チームは、ドイツの砕氷船を用いた国際的な北極海の観測プロジェクト「MOSAiC」に参加し、海氷直下の海氷ー海洋境界層における熱の変化を徹底的に調査した。
 
その結果、現在の北極海が以前よりも、夏に海氷が溶けやすく、秋以降に海氷ができやすい状態にあることがわかった。研究チームは今回、北極点、海氷直下の熱の動きを細かく調べた。

 今回調査では、北極海の海氷面積がもっとも小さくなる 8・9 月に、海氷直下の海氷ー海洋境界層における乱流エネルギーを計測し、乱流にともなう熱の動きと、海氷の厚さとの関係性について調べた。
 
 同調査の結果、以下の 2 つの効果が北極海の海氷変動を特徴づけていることがわかった。1つは、夏の海氷面積が後退するとき、海氷の運動が著しく加速する効果だ。特に、その底面がボコボコした海氷が周囲をはげしく動き回ることで、海氷下の海水には乱流の渦が発達し、海氷ー海水間で交換される熱の量は飛躍的に増加する。
 
 2つ目は、海氷の融け水(融氷水)が境界層に蓄積することで、海水の塩分濃度が大幅に下がり、それによって海水の結氷温度が引き上げられる効果。これは、秋以降、海水が凍り始める時期が早まることを意味する。今の北極海では、これら 2 つの効果によって、夏の期間は海氷の融解する速度が大きいが、秋以降に回復する速度も大きいという特徴が明らかとなった。

 本研究成果は、8月19日に米国科学誌「Journal of Geophysical Research ー Oceans」オンライン版に掲載された。
 
ニュースリリース
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/220823_pr3.pdf