2022年08月24日
東北大、永久磁石の内部可視化に世界初成功
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 電気自動車や風力発電などの駆動用モーターに使われる永久磁石は内部の構造が見えないため、保持力の「見える化」が課題となっていた。

 東北大学 多元物質科学研究所の岡本聡教授らの研究グループは23日、東北大学 国際放射光イノベーション・スマート研究センター、高輝度光科学研究センター、物質・材料研究機構、大同特殊鋼などとの共同研究で、大型放射光施設SPring-8で開発された 硬X線磁気トモグラフィー(磁気CT)法を用いて、永久磁石材料内部の磁区構造の外部磁場に対する振舞いを3次元的に可視化することに世界で初めて成功したと発表した。

 永久磁石は、電気自動車の駆動用モータなどに不可欠な材料であり、2050年カーボンニュートラル実現のためにさらなる高性能化が望まれている。永久磁石の性能を表す指標ともいえる保磁力について、その発現メカニズムの解明は長年の未解決課題となっていた。

 保磁力メカニズム解明のための最も直接的な手段は、磁石内部に存在する磁区構造(数マイクロメートル以下の微小磁石に相当)を観測することにある。しかし、これまでは材料表面の観察しか行えなかったため、得られる磁区画像は表面欠陥層等の影響を大きく受けていた。 

 今回、岡本教授らの研究グループは、磁気CT法を用いて、先端永久磁石材料内部の磁区構造の外部磁場に対する振舞いを3次元的に可視化することに成功した。これまで不可能だった表面欠陥の影響を受けない真の保磁力メカニズムの解明など、さらなる高性能永久磁石の開発につながることが期待される。
本研究成果は、科学ジャーナル誌「NPG Asia Materials」(8月19日付)にオンライン公開された。

ニュースリリース
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2022/08/press20220823-01-magnet.html