2022年08月24日

東レ、世界初・非可食バイオマスからナイロン66原料

【カテゴリー】：行政/団体 【関連企業・団体】：東レ

東レは24日、植物の非可食成分から得た糖を原料に、独自の発酵・合成技術によって、ナイロン66(ポリアミド66)の原料となる、100％バイオアジピン酸を開発したと発表した。非可食バイオマス由来の糖を原料としたアジピン酸の開発は世界初。今後、市場調査などを行い、2030年近傍までの実用化を目指す。 　ナイロン66は、耐久性や強度・剛性に優れ、繊維や樹脂として幅広く使用されているが、最近は環境配慮型のナイロン66の開発に対する要望が高まっている。また、ナイロン66の原料であるアジピン酸を従来の化学合成法で製造する場合、温室効果ガスである一酸化二窒素（N2O）が発生することも課題の1つだった。 　今回東レは、糖からアジピン酸中間体を生成する微生物を世界で初めて発見した。この微生物内でより効率的に合成が進むよう遺伝子を組み換え技術や、最適な微生物発酵経路の設計といった情報生命科学技術を活用し、微生物内の代謝経路の効率化にも成功した。これにより、微生物が生成する中間体量が、発見当初と比較し1000倍以上に向上し、合成効率の飛躍的な向上を実現した。 　 　また、精製の過程で中間体の濃縮に逆浸透分離膜(RO膜)を利用することで、より少ないエネルギーでの濃縮が可能となる。さらに、この方法で得られるバイオアジピン酸は、石油由来アジピン酸の製造工程で発生するN2Oを全く発生させないため、地球温暖化の抑制も期待できる。 　今回開発したバイオアジピン酸は、東レグループが目指す2050年カーボンニュートラルの実現への取り組みの一環で、世界共通の課題である持続可能な循環型の資源利用と生産に貢献する。 　 ニュースリリース https://www.toray.co.jp/news/details/20220817150637.html