2022年09月07日 |
中部大など、温度差で生じる物体間の横滑り現象解明 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:東北大学 |
ノコギリ歯状の表面構造を持つ高温基板に、低温物体を1ミクロン以下の距離まで近づけると、物体と基板をスライドさせるクヌッセン力が働くことがは従来から指摘されていた。この力は熱流体力学で説明できず、発生メカニズムも性質も未解明のままだった。 中部大学工学部の米村茂教授と東北大らのグループは6日、分子シミュレーションによってこの力を再現することに成功したと発表した、両物体間の距離が、気体分子の平均自由行程の百分の一から十倍までの間の大きさである場合にのみ、この力が顕著に現れることも明らかにした。さらに分子の入・反射によって物体表面に伝えられる運動量に着目して、この力の発生メカニズムを理論的に解明した。 この力を利用すれば、エンジンのような複雑な機構なしに、物体を近づけるだけで熱から仕事を取り出すことができる、新たな工学技術への応用が期待できる。 同研究成果は、米国物理学協会の学術雑誌「Physics of Fluids」に7月19日に掲載された。また同協会が一般向けに紹介するサイト「American Institute of Physics Showcase」でも取り上げられた。 <用語の解説> ◆クヌッセン力 :温度差のある2つの物体の近接で生じる横滑り力のこと。 ニュースリリース https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20220906_03web_knudsen.pdf |