2022年09月08日
熊本大、縄文時代の日本のゴキブリ 起源を同定
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:熊本大学

 熊本大学小畑弘己教授を中心とする研究グループは7日、縄文土器に残る卵鞘(らんしょう)圧痕からゴキブリの種を同定し、今からおよそ 5300~4000 年前の縄文時代中期~後期に、すでに現在の日本におけるゴキブリの種分布(棲み分け)が成立していたとの研究成果を発表した。
 英国の考古科学雑誌「Journal of Archaeological Science: Reports」誌にも掲載された。

 小畑教授らは2016年に、宮崎県宮崎市の本野原(もとのばる)遺跡から、縄文土器の表面についたゴキブリの卵鞘の圧痕を発見した。
我が国には50種ほどのゴキブリが知られているが、そのうち家などに入り込む「家ゴキブリ」は 10 種ほど。現在、東日本に主に棲息しているヤマトゴキブリは平安時代の文献にも現れるため在来種と同定されているが、それ以外はほとんどがアフリカなどに起源をもつ外来種とされている。今回、本野原遺跡の土器に残る卵鞘圧痕から同定された種が主に西日本に生息しているクロゴキブリであったため、これまで中国南部起源で江戸時代に日本に入って来たと推定されていたクロゴキブリが、日本起源ではないかと推定されてきた。

今回、新たに宮崎県えびの市の上田代(かみたしろ)遺跡や、鹿児島県鹿屋市の小牧遺跡、さらに山梨県北杜市の堰口遺跡で検出されたゴキブリの卵鞘の土器圧痕などを詳細に比較した結果、鹿児島県・宮崎県出土品に残る卵鞘はクロゴキブリ、山梨県出土品に残る卵鞘はヤマトゴキブリであると同定した。縄文時代の遺跡から発見されたのはおそらくこれが初例だとしている。