2022年09月27日
北大、水生昆虫生活史「石の下にも3年」解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学大学院 地球環境科学研究院の根岸淳二郎准教授らの研究グループは27日、北海道東部十勝川支流の札内川で、川底地下に生息するカワゲラ科の昆虫の一種(イシカリミドリカワゲラ)の生活史と食物網における餌資源の長期観測に成功したと発表した。

 長期観測によって、孵化直後の本種幼虫は11月頃から地下30-50センチの深度に現れ、その後、約2年半かけて成長した後に成虫として羽化することがわかった。羽化成虫は6月と7月に河畔で多く見られ、羽化のタイミングは河川水温の高い年に早まる傾向が確認された。成虫は最大10日程度で寿命を終えるので、成虫の河川での産卵後、計約3年程度を地下で幼虫として過ごすと考えられる。

 また、食物網構造の解析から、川底地下で共存するその他の動物(ユスリカ科幼虫やミミズ類)を通年捕食する2次消費者であることも明らかになった。本研究の成果により、河川地下の動物群集の動態や生物多様性の解明と効果的な保全に一歩近づくことが期待される。
同研究成果は9月27日公開の「Hydrobiologia」誌にオンライン掲載された。

ニュースリリース
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/220927_pr.pdf