2022年09月30日
山梨大、下水中の新型コロナウイルス検出法開発
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:科学技術振興機構

 山梨大学 国際流域環境研究センターの原本英司教授らの研究グループは29日、新型コロナウイルスとその変異株が有する特徴的な変異(9 種類)に加え、ノロウイルスや A 型インフルエンザウイルス等の病原ウイルス(5 種類)も対象とした計 22 種類のアッセイ(定量 PCR 系)を用い、一度に最大 48 サンプルの測定が可能なハイスループット定量 PCR 法を開発したと発表した。
 
 この手法を用いて、2020 年 12 月に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)軽症者等宿泊療養施設の下水から国内で感染者が初確認されたアルファ株を有する変異株を検出した。また,2021 年 4 月に下水処理場で採取した下水からも感染者の報告に先行してデルタ株が有する変異(L452R)を検出した。
 
 今回開発したハイスループット定量 PCR 法は,測定するアッセイの組み合わせを容易に変更できることから、新型コロナウイルスの新たな変異株やウイルスに限らず新たな病原微生物が出現した際にも迅速な測定体制を構築することが可能となり、ウィズコロナ時代の「下水疫学調査」に貢献できる。
本研究成果は9月9日公開の「 Science of the Total Environment 」誌のオンライン版に掲載された。