2022年10月04日
北大、複雑構造の高分子材料をワンステップで合成
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 北海道大学大学院の佐藤敏文教授(工学研究院)らの研究グループは3日、複数の原料と触媒を反応容器で加熱するだけで、繰り返し構造・三次元構造・配列が巧みに制御されたブロック共重合体を簡便に合成することに成功したと発表した。

 複数の繰り返しユニットで構成されるブロック共重合体は、その繰り返し構造や各ユニットの性質に応じて優れた機能を発現するため、機能性材料として多く利用されている。しかしブロック共重合体は通常、多段階に及ぶプロセスによって合成されるため、より簡便かつ精密な合成手法の開発が求められている。

 研究グループは、カルボン酸塩を触媒として、複数の原料とともに反応させるだけで、複数のセグメントを有するブロック共重合体を合成することに成功した。反応物の種類や仕込み割合を変更することにより、得られる生成物の配列やセグメント比、トポロジー(三次元構造)までも制御できることを見出した。
 
 合成されたブロック共重合体は生分解性高分子としても利用されるポリエステルで構成されており、今後、生分解性を有する工業材料や機能性材料としての応用が期待される。
同研究成果は9月23日公開の「 Journal of the American Chemical Society 」誌に掲載された。

<用語の解説>
◆ブロック共重合体 … 複数の高分子成分が化学的に結合して出来た高分子のこと。

ニュースリリース参照
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/221003_pr2.pdf