2022年10月05日 |
日鉄ケミなど、炭素繊維シートで水路トンネル補強 |
【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:日鉄ケミカル&マテリアル |
農研機構は5日、島根大学、日鉄ケミカル&マテリアル、オリエンタル白石と共同で、軽量・高引張の炭素繊維シートを水路トンネル内側の覆工コンクリートに接着し、老朽化した水路トンネルを補強する工法を開発した。建設資材の搬入や大規模工事が難しい地域での水路トンネルの長寿命化に有効となる。 山間部に建設された農業用水を運ぶ農業用水路トンネルは、崩落の事故などによって送水が停止すると、下流地域の農業生産に大きな被害が及ぶ。これを未然に防ぐためには、早い段階での補強手当てが重要となるが、水路トンネルの場合は、使用する資材の搬入などに手間がかかり、迅速な実施は難しい状況だった。 農研機構は、島根大学、日鉄ケミカル&マテリアル、オリエンタル白石と共同で、農水省補助による「官民連携新技術研究開発事業」に取り組んできた。あらかじめ工場で加工した、細い、すだれ状の炭素繊維シートを水路トンネル内に搬入し、トンネル内側を覆っているコンクリート(覆工コンクリート)に接着することによって、老朽化した水路トンネルを補強する新工法を開発した。 炭素繊維シートの密度は鉄の約 1/5と軽量で、人力で容易に持ち運びが可能なため、資材搬入のための仮設の道路や設備が不要で、これに要する費用を大幅に軽減できる。また補強が必要となる範囲だけを部分的に補強することができるため、トンネルの応急修理にも有効だ。 |