2022年10月11日
東北大、クラゲの受精卵遺伝子発現抑制 成功
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

 東北大学学際科学フロンティア研究所の中嶋悠一朗助教(現・東京大学講師)らの研究グループはこのほど、クラゲ類の初期胚の遺伝子を、効率よくかつシステマティックに発現抑制(ノックダウン)する手法を確立したと発表した。

 これまで刺胞動物を用いた細胞や分子レベルの研究では、一部のポリプ型動物を中心だったこともあり、メデューサのステージをもつクラゲ類に特徴的な生命現象の分子レベルの理解は進んでいなかった。その理由として、マイクロインジェクションによる胚操作が困難であったことが挙げられる。

 研究グループは、複数種のヒドロ虫綱クラゲの受精卵を使って、RNAi法による遺伝子発現の抑制(ノックダウン)に成功した。本研究で確立した手法は、クラゲ類だけでなく他の海産無脊椎動物にも適用可能な手法であり、初期胚の遺伝子機能を解析する上で大変有用と考えられる。
本研究成9月30日付の国際科学誌「Scientific Reports」に掲載された。

◆ノックダウン :特定の遺伝子のmRNA量を減少させる操作の総称。現在は、RNAi法が主な手法となっている。


ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20221007_02web_kurage.pdf