2022年10月12日 |
京大、「がん幹細胞」を選択的に死滅、化合物発見 |
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京都大学 薬学研究科の掛谷秀昭教授らの研究グループは11日、大腸がん幹細胞に対する治療薬探索系を独自に構築し、微生物由来中分子化合物レノレマイシンが、がん幹細胞を選択的に死滅させる効果を示すことを発見したと発表した。 「がん幹細胞」は腫瘍中に存在する悪性度の高い画分として知られている。既存の抗がん剤に対して耐性を示すことから、残存したがん幹細胞はがん再発の一因となっており、新な治療戦略の確立が急務となっている。 掛谷教授らのグループは、がん幹細胞を標的とした治療薬候補を取得するため、従来とは異なる独自の化合物スクリーニング系を構築した。同一がん細胞株を異なる培地で三次元培養することで、がん幹細胞の取得を試みた。その結果、特徴的なマーカーおよび薬剤耐性を獲得したがん幹細胞の培養に成功した。 この手法で培養されたがん幹細胞と通常のがん細胞を用いて、微生物代謝産物ライブラリーからがん幹細胞選択的に殺細胞効果を示す化合物を探索した結果、イオノフォアとして知られる3つの中分子化合物を同定した。取得した3化合物のうちレノレマイシンは、従来発見されていたサリノマイシンと比較しても非常に高い選択性と有効性を示した。 また、レノレマイシンが活性酸素種を発生させることで、がん幹細胞を選択的に死滅させていることを明らかにした。これにより、がん幹細胞を標的とする新たな抗がん剤シーズの開発が期待できる。 同研究成果は国際学術誌「The Journal of Antibiotics」(10月8日付)オンライン版に掲載された。 ニュースリリース参照 https://www.kyoto-u.ac.jp/sites/default/files/2022-10/221011_kakeya-1ae193c451f64704bd0f039840aaa217.pdf |