2022年10月21日 |
理研・北大など開発「心臓の異常を光で診断」 |
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理化学研究所 生命機能科学研究センターの神隆チームリーダーと北海道大学、大阪大学などとの共同研究グループは21日、心筋における脂肪酸代謝を光で可視化するための近赤外蛍光プローブの開発に成功したと発表した。 同研究成果は、心筋における脂肪酸代謝を、放射線を使わずに非侵襲的にイメージングする手法として、心臓疾患の研究に貢献すると期待できる。 脂肪酸は心筋のエネルギー源であり、その代謝状況は心臓の状態を反映する。従来医療現場では、心臓の診断に放射性プローブ 123I-BMIPPによる心筋脂肪酸代謝のシンチグラフィーが用いられてきた。 今回、研究グループは、体を透過する近赤外蛍光を用いた心筋脂肪酸代謝の生体蛍光イメージングを実現するため、BMIPP の放射性ヨウ素の代わりに近赤外蛍光色素 Alexa680で修飾した近赤外蛍光プローブ「Alexa680-BMPP」を開発した。 この化合物が発する近赤外蛍光の観測により、ヒト心筋培養細胞およびマウス個体において、心筋での脂肪酸代謝が可視化できることを確認した。 同研究成果は、10月7日付の科学雑誌「Analyst」に掲載され、表紙も飾った。 ◆脂肪酸代謝、β 酸化とは :心筋はエネルギー源として、主に脂肪酸とブドウ糖を利用している。酸素供給の良い健常心筋では、空腹時にエネルギー源の約 80%は脂肪酸の β 酸化が用いられる。β 酸化は、脂肪酸からアセチル CoA を生成する代謝反応。 ◆ Alexa680 :シアニン系の蛍光色素。従来の蛍光色素よりも強い蛍光強度を示し,光安定性にも優れている。青から赤までの色調の種類があり,マルチカラー検出にも適する。核酸や抗体、タンパク質などの蛍光ラベルに汎用される。Alexa680 の色素は、吸収極大を680nm 付近に持ち、700nm 以上の近赤外領域で蛍光発光する ニュースリリース参照 https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/221021_pr5.pdf |