2022年10月25日 |
成蹊大、世界最高の超伝導臨界密度薄膜線材 創製 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:科学技術振興機構 |
成蹊大学大学院 理工学研究科の三浦正志教授らの研究グループは24日、新材料設計指針である「磁束ピン止め点制御」と「キャリア密度制御」の融合により銅酸化物高温超伝導材料YBa2Cu3Oy(Y123)の薄膜線材を創製し、すべての超伝導材料の中で最も高い世界最高の超伝導臨界電流密度150 MA/cm2を液体ヘリウム沸点温度(ー269℃)で達成したと発表した。 <特徴> ・世界最高の超伝導臨界電流密度を有する薄膜線材を創製した。 ・液体ヘリウム沸点温度(ー269℃)で 150 MA/cm2 (1億5000万アンペア/平方センチメートル)を達成した。 ・この超伝導薄膜線材は、18 テスラの高磁場下でも、すべての超伝導材料の中で最も高い超伝導臨界電流密度を達成した。 本指針により鉄系超伝導材料BaFe2(As1-xPx)の薄膜において世界最高級の超伝導臨界電流密度を達成し、種類の異なる超伝導材料への有効性を確認した。 今後、磁場下で高い超伝導臨界電流が必要な核融合発電、高度医療診断装置、高度分析機器やリニアモーターカーなどのさらなる高性能化・低コスト化・コンパクト化につながると期待される。 本研究成果は、英国科学誌Nature系の専門誌「NPG Asia Materials」(22年10月21日)に掲載された。 <用語の解説> ◆テスラ : 磁場(磁束密度)の強さを表し、T で表記される。 ◆磁束ピン止め点 :磁場下の超伝導体内には、量子化された磁束(量子化磁束)が侵入する。この量子化磁束は、 超伝導に流れる超伝導電流と磁場によるローレンツ力(電磁場中で運動する荷電粒子が受ける力)を受け、超伝導体内を運動するため、この運動により超伝導電流が流れにくくなる。そこで、超伝導電流向上を目的に、量子化磁束の運動を抑制(ピン止め)するために導入する非超伝導相のことを磁束ピン止め点とよぶ。 ニュースリリース参照 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20221024_03web_super.pdf |