2022年10月28日
東北大、宇宙で合成されたレアアースを初特定
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

 東北大学大学院 理学研究科(田中雅臣准教授)の研究グループは27日、宇宙空間で合成されたレアアースを初めて特定したと発表した。
 
 宇宙における金やプラチナ、レアアースなどの起源は天文学・宇宙物理学上の長年の未解決問題だった。起源天体としては中性子星の合体現象が有力視されていたが、実際にどのような元素が合成されたかは不明だった。
 
 研究グループは中性子星合体からの光のスペクトルを解読するため、全ての重元素の性質を網羅的に調べ、国立天文台のスーパーコンピュータ「アテルイ2」を用いて詳細な数値シミュレーションを行った。

 その結果、ランタンとセリウムという一部のレアアースが、中性子星の合体で実際に観測された赤外線スペクトルの特徴を説明できることを明らかにした。

 これは個々のレアアースが中性子星の合体で作られた初めての直接的な証拠であり、宇宙における元素の起源の理解を大きく進めるものとなった。
 
 同研究成果は22年10月26日に「The Astrophysical Journal」電子版に掲載された。

<用語の解説>
◆中性子星 :質量の大きい恒星が進化した後に残る天体の一種。半径10 km程度の大きさに地球の約50万倍の質量が詰まっており、非常に密度が高い。

ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20221027_01web_element.pdf