2022年11月09日
北大「赤ビーツが冷えた手指を早く温める」効果解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学大学院 工学研究院の若林 斉准教授らの研究グループはこのほど、赤ビーツ(アカザ科の植物)飲料の摂取によって、冷えた手指が早く温まることを明らかにしたと発表した。

 赤ビーツに豊富に含まれる硝酸塩は、体内で一酸化窒素(NO)に変化し、NOの血管拡張作用によって血圧を下げることや血流を促進することが知られている。若林准教授らは、手指などの末梢部の冷えの改善に赤ビーツによる血流促進作用を活用できないかと考え、ヒト対象実験により検証した。8℃の水に手を30分間浸漬させて手指を冷却した後、室温27℃の環境で指先の皮膚血流や皮膚温度の回復を測定した。

 その結果、水を摂取した条件に比べて、赤ビーツ条件では、冷却後の皮膚血流増加が大きく、皮膚温回復速度が速まることが明らかになった。さらに、赤ビーツによる皮膚温回復作用には個人差が見られ、水条件で回復の遅い人(冷え性傾向の強い人)ほど赤ビーツ摂取の効果が顕著に示された。

 本研究の成果から、寒冷地作業者や冷え性の人の末梢部の冷えの緩和に、赤ビーツの摂取による血流促進作用の活用が期待される。
 同研究成果は10月28日公開の「European Journal of Applied Physiology」誌にオンライン掲載された。

◆赤ビーツ :北海道内でも栽培される甜菜の一種。主な成分として、血管拡張に寄与する硝酸塩や、抗酸化作用を持つベタニンなどを含む。

ニュースリリース参照
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/221031_pr.pdf