2022年11月14日
東北大、細胞の情報伝達オンオフ切り替え分子発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

 細胞は外来との情報(シグナル)のやりとりの大半をGタンパク質共役型受容体(GPCR)と呼ばれる膜表面のセンサーを介して行う。GPCRに細胞外からシグナル伝達分子(リガンド)が結合すると、GPCRは細胞内に取り込まれて内在化し、しばらくの間応答性が低下した状態(脱感作)を保ち、その後細胞表面へと戻る。

 東北大学大学院薬学研究科の井上飛鳥教授らの研究グループは11日、機能性膜脂質であるホスファチジルイノシトール4,5-二リン酸(PIP2)に着目し、この脂質分子がアレスチンとGPCRの結合を促進し、アレスチンを構造変化させて活性型へと誘導することで、GPCRを細胞内に取り込むことができることを見出したと発表した。

 薬の多くはGPCRに作用して薬効を発揮することから、本研究の知見は持続的な効果を示す薬や副作用を低減した薬の開発に貢献する。
本研究成果は11月10日に「Cell」誌電子版(11月23日に同冊子版)に掲載された。

<用語の解説>
◆ Gタンパク質共役型受容体(GPCR)とは :細胞外のリガンドに応答して三量体Gタンパク質を介して細胞内へとシグナル伝達を行うセンサータンパク質。構造的に7回細胞膜を貫通する特徴を持つ。ヒトには約800種類のGPCRが存在し、それぞれが特定のホルモン分子や代謝物を認識する。薬の標的としても重要であり、既存薬約3割がGPCRを介して薬効を発揮することが知られる。

ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20221111_03web_switch.pdf