2022年11月14日 |
東大など「自殺者の体内リチウム濃度低い」 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:東京大学 |
東京大学大学院 医学系研究科の安藤俊太郎准教授、東京都監察医務院の鈴木秀人前院長らの研究グループはこのほど、12名の自殺者と16名の非自殺死亡者の眼房水中リチウム濃度を比較した結果、自殺者の方が非自殺死亡者よりも眼房水中リチウム濃度が低いことを示したと発表した。体内微量のリチウムが自殺に関連していることが示唆された。 地域の水道水中リチウム濃度が自殺率と逆相関することはさまざまな地域で報告されてきたが、自殺者の体内リチウム濃度が非自殺死亡者より低いのかはこれまで不明だった。死後変化の少ない眼房水の採取・解析に成功し、複数の自殺者の体内リチウム濃度を非自殺死亡者と比べた世界初の研究。 今後は自殺者の体内リチウム濃度が低くなるメカニズムの解明が求められる。炭酸リチウムは中毒や副作用のために過小利用される傾向にあるが、今回研究により微量リチウムの自殺予防効果の可能性がクローズアップされた。将来、微量リチウムの自殺予防効果の検証が進むことが望まれる。 同研究成果は22年11月7日に学術誌「Translational Psychiatry」のオンライン版に掲載された。 <用語の解説> ◆眼房水 : 眼球の毛様体から分泌され、虹彩の裏面と水晶体の表面を洗い、瞳孔から虹彩の前面に出て、虹彩の表面と角膜の裏面を洗う役割を果たしている。正常な眼球では角膜と水晶体の間で眼房水が常に循環して、眼圧が一定に保たれている。眼房水の死後変化が遅いことも報告されている。 ニュースリリース参照 https://www.h.u-tokyo.ac.jp/press/__icsFiles/afieldfile/2022/11/11/release_20221111.pdf |