2022年11月18日
東北大、世界最高解像度 天の川シミュレーション成功
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

 東北大学大学院 理学研究科の平居悠 研究員らはこのほど、国立天文台、神戸大学などと共同で、国立天文台の天文学専用スーパーコンピュータ「アテルイ2」を用いて、天の川銀河ができる様子を世界最高解像度でシミュレーションすることに成功したと発表した。
 
 われわれが暮らす太陽系を含む天の川銀河は、宇宙が誕生した138億年前の数億年後から形成されてきたとみられている。しかし誕生から形成の過程は謎に満ちており、今でも解明されていないことが多い。

 今回のシミュレーションの結果、金、プラチナなど鉄より重い貴金属の元素を多く含む星は、100億年以上前、天の川銀河の元となった小さい銀河で形成されたことが明らかになった。また、シミュレーションで形成された星の元素量、運動は、天の川銀河の星の観測と一致した。今後、国立天文台のすばる望遠鏡などでの観測が進むと、貴金属に富んだ星を指標として、長年の謎であった100億年以上前の天の川銀河形成史を辿れるようになると期待される。

 同研究成果は、英国学術誌「Monthly Notices of the Royal Astronomical Society」(王立天文学会月報)で、11月14日にオンライン公開された。

<用語の解説>
◆アテルイ2 :国立天文台が運用する天文学専用のスーパーコンピュータ。理論演算性能は 3.087 ペタフロップス( 1ペタは 10 の 15 乗、フロップスはコンピュータが 1 秒間に処理可能な演算回数を示す単位)で、天文学の数値計算専用機としては世界最速。岩手県奥州市の国立天文台水沢キャンパスに設置されており、平安時代に活躍したこの土地の英雄アテルイにあやかり命名された。

ニュースリリース参照
ttps://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20221114_02web_milkyway.pd