2022年12月07日
東北大、染色体分離を制御するセパレース制御機構 解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

(公財)がん研究会、宮城県立がんセンターの広田亨部長(東北大学教授)らの研究チームは6日、染色体分離を制御するセパレース制御機構を解明したと発表した。セパレース活性化動態の異常を防ぐための分子メカニズムを解明した。

 がん細胞は分裂を繰り返して増殖する。その過程で、染色体分離の異常を頻繁に引き起こしてしまうため、染色体数が多様な細胞が多く作り出される。このような染色体分離の異常ががん細胞で頻発する原因については、これまでの研究で、がん細胞では染色体分離のトリガーとるなるセパレースという酵素の活性が早期に漏洩してしまう、ということまではつきとめられていた。

 セパレースの活性化動態の異常を防ぐための機構として、サイクリンB1によるセパレース活性制御を促進する機構が存在することを発見した。この機構によりセパレース活性の早期漏洩が防止され、染色体分離の異常が防止されていた。これらの研究成果は11月29日に米国科学雑誌「Cell Reports」オンライン版に掲載された。

◆セパレース :染色体分離時、姉妹染色分体間のコヒーシンを切断するタンパク質分解酵素。染色体分離以前には、セキュリンとサイクリン B1 が結合することによってセパレース活性は抑制されている。セパレースはコヒーシン以外にもセパレース自身も切断する「自己切断」と呼ばれる活性を持っている。

(発表の詳細)
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20221206_04web_separase.pdf