2022年12月07日

帝人、生分解性と実用性両立のポリ乳酸樹脂 開発

【カテゴリー】：行政/団体 【関連企業・団体】：帝人

帝人フロンティアは7日、従来品より海洋・河川や土壌中での生分解速度が速く、生分解性と実用性を両立するPLA(ポリ乳酸)樹脂を開発したと発表した。ポリマーに新たな生分解促進剤を添加することで、強度や成型性などの実用性を損なうことなく生分解速度を向上させることができる。2023 年度中に素材の生産・販売を開始し、26年度には、数億円規模の売上をめざす。 　PLA樹脂は、一般に植物由来成分を原料に生分解性を持つことで、環境負荷低減ニーズに対応してきた。 　だが、高温多湿となるコンポスト環境下では生分解性能を発揮するが、海洋・河川や土壌中では生分解速度が遅いため、マイクロプラスチックの長期間残留や、プラスチックの強度が劣るなど実用性の上で問題点が指摘されていた。今回、PLAポリマーに新たな生分解促進剤を添加することで、従来品と比べて生分解速度が速く、結晶性や成形性を損なわない、生分解性と実用性を両立するPLA樹脂を開発した。 ＜新開発PLA樹脂の特長＞ （1）優れた生分解性と実用性 を有する　：一般的にPLAポリマーは、加水分解により1万 Mn（数平均分子量）未満になると、細菌や菌類に補食可能となり、二酸化炭素や水へ分解される。今回の開発品は生分解促進剤を添加することで、無添加のPLAポリマーと比較して加水分解を促進させ、より速く分子量を小さくすることが可能となる。海洋・河川や土壌中でもより速く生分解が促進される。結晶性や成形性を損なわずに実用性を発揮する。 （2）様々な加工・成型に対応できる　：通常のPLAポリマーと同様の加工や成型が可能なため、樹脂をはじめ、フイルムや射出・押出成形品、テキスタイル・不織布などへの加工・成型が可能だ。生分解促進剤の添加量や条件を調整することで分解期間のコントロールもできる。農業や漁業用途の場合、その希望耐用年数に応じて、分解期間の設定ができる。 （3）環境負荷低減素材　：海洋・河川や土壌中でより速く生分解が促進されるため、マイクロプラスチックの削減に貢献する。また、植物由来成分を原料としており、商品のライフサイクルの期間内での CO2 の排出量削減にも貢献する。