2022年12月09日 |
国環研「クロロフィル蛍光の鉛直分布」世界初観測 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:科学技術振興機構 |
国立環境研究所・衛星観測センターの両角友喜 特別研究員と北海道大学、岐阜大学、宇宙航空研究開発機構などからなる研究チームはこのほど、落葉広葉樹林の二酸化炭素(CO2)吸収機能について、指標となる太陽光誘起クロロフィル蛍光(SIF)の鉛直分布を世界で初めてリモートセンシング観測によって明らかにしたと発表した。 森林観測タワーの異なる地上高の3点(18m、14m、8m)から SIF 放出を詳細に解析し、2020 年 4 月と 11 月に森林全体の SIF 放出のうち、林床の寄与が約半分を占めることを明らかにした。同時に測定した群落 CO2 濃度・CO2交換量は、林床のSIF が樹木落葉期における CO2 吸収に応答することを裏付けた。 今回提案した手法は数値モデルの予測を実証でき、人工衛星の SIF 観測による全球的な温室効果ガス監視網の発展に寄与する。今後さまざまな生態系への応用も期待できる。 本研究の成果は11月16日付の学術誌「Remote Sensing of Environment」にオンライン掲載された。 <用語の解説> ◆クロロフィル蛍光(Chlorophyll Fluorescence) 植物の細胞内に含まれるクロロフィル色素(葉緑素)が光合成における光エネルギー受容・伝達において、反応に利用できない余剰エネルギーの一部を蛍光として放出したもの。赤色(red)から遠赤色(far-red)波長の光として放出される。ストレス診断など広く農業分野や生物学分野で利用される。 (詳細/ニュースリリース) https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/221207_pr3.pdf |