2022年12月20日
広島大、新型コロナ対策で他の飛沫感染病原菌 検出減少
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:広島大学

 広島大学大学院 医系科学研究科の柿本聖樹助教らの研究チームは19日、「新型コロナウイルスへの感染対策で他の飛沫感染症の病原菌検出数が減少した」と発表した。新型コロナウイルス流行初期段階の前後について、日本の大規模データベースを使用し、細菌培養検査による分離菌の動向を解析した。
 
 大規模オープンデータベース「日本感染症予防・医療疫学サーベイランス(J-SIPHE)」を解析し、新型コロナウイルスの流行初期の前後での、細菌伝搬の動向を検討した。
 
 この結果、病原性のある 10 種類の細菌のうち、飛沫感染経路による感染伝播を主体とした3種類の細菌の検出数が著しく減少したことが明らかになった。さらに、これらの飛沫感染を主体とする細菌の検出頻度が減少した時期は、新型コロナウイルス感染症の感染対策に対する行動変容が開始された時期と一致していた。
 
 従って、マスクの着用やソーシャルディスタンスの感染予防対策が、新型コロナウイルス感染症だけでなく、飛沫感染経路を主要な感染伝播経路とする呼吸器・気道感染症に起因する細菌群の伝播経路を遮断し、予防効果があったことが大規模な細菌学的データベースによって裏付けられた。
 本研究成果は12月1日付のイギリスの国際学術誌「Journal of Infection」誌に掲載された。

<用語の解説>
◆行動変容 :環境の変化に応じて人の行動が変化することであり、新型コロナウイルス感染症では、感染予防対策の一環としてマスク着用やアルコール消毒などが該当する。