2023年01月05日
東北大、数学の原理で高周波新型音響導波路を開発
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

 東北大学金属材料研究所の小野瀬佳文教授らのグループは4日、数学分野のトポロジーの概念をもとに物質の表面に特殊な音波の導波路を実現したと発表した。この導波路は、表面弾性波デバイス上に組み込むことができ、トポロジーの活用により原理的には極限まで散逸が抑制される性質を持つ。
 
 音波は空気や物質の振動が波として伝わる現象で、中でも物質の表面を伝わっていく音波は「表面弾性波」と呼ばれ、これを用いた電子素子に表面弾性波デバイスがある。表面弾性波デバイスは特定周波数の電気信号のみをよく通すため携帯電話の周波数フィルタとして用いられたり、音波の伝わり方が敏感という性質を使ってセンサなどに利用される。しかし表面弾性波デバイスのエネルギー損失によって、大きな電力消費を伴うことが問題となっていた。
 
 今回研究で得られた導波路を利用すれば、超低消費電力の表面弾性波デバイスの実現につながると期待できる。これは例えば、携帯電話のバッテリー持続時間を大幅に延ばせるなど、電子機器の高機能化に貢献できると考えられる。また表面弾性波は量子コンピューティングの要素技術としても着目されているが、今回の導波路の持つ性質も大いに役立つと期待できる。

 同研究は米国物理学会の専門誌Physical Review Applied誌のEditor's suggestionに選定され、2023年1月3日付の同誌に掲載された。

ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2023/01/press20230104-02-topology.html