2023年01月18日 |
東北大、レアメタルフリーのLIB電池開発 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:東北大学 |
電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)に搭載されるリチウムイオン電池等の正極には、コバルトやニッケルなどのレアメタルが使用されている。蓄電池の世界市場が急拡大する中、レアメタルの産出国は少数の国に偏在しているため、サプライチェーンリスクへの不安が増している。資源リスク回避可能な正極材料として、安価な鉄を用いたリン酸鉄リチウム(LiFePO4)が実用化されているが、エネルギー密度が低い問題がある。さらに需要が高まる中で、レアメタルフリーで高エネルギー密度の新しい正極材料開発が求められている。 逆蛍石型リチウム鉄酸化物(Li5FeO4)は、実用化しているLiFePO4正極で利用されている鉄のレドックス反応に加えて酸素のレドックス反応も利用できる。理論上はLiFePO4正極の2倍以上の容量を示すことが予測され、近年世界的に再注目されている。だがこれまでは酸素のレドックス反応を十分に活用できず、LiFePO4正極とほぼ同じ容量しか利用することができなかった。 東北大学多元物質科学研究所の本間格教授らの研究グループは17日、安価な鉄と酸素を用いた、レアメタルフリーかつ高エネルギーな新しいリチウムイオン電池正極材料の開発に成功したと発表した。 研究ではメカニカルアロイングを用いLi5FeO4を準安定化させることで、鉄と酸素のレドックス反応の両方の利用が可能となり、LiFePO4正極に比べ約2倍の300 mAh/gを超える可逆容量を達成した。 サプライチェーンリスクを回避できる元素資源を用いてリチウムイオン電池の低コスト化と高エネルギー密度化が期待できる。同成果は1月15日に米学術誌「Advanced Energy Materials」誌にオンライン掲載された。 <用語の解説> ◆レドックス反応:酸化還元反応のこと。還元(Reduction)反応と酸化(Oxidation)反応を略してレドックス (Redox)反応と呼ぶ。 (発表の詳細) https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2023/01/press20230117-01-redox.html |