2023年01月20日
北大、蛍光明滅を利用し RNA 立体構造検出に成功
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学大学院 先端生命科学研究院の北村 朗講師らの研究グループは19日、シアニン蛍光色素の光異性化状態の変化を検出できる手法を用いて、生細胞内でグアニン四重鎖構造というRNAの特殊立体構造を識別することに成功したと発表した。シアニン色素の光異性化状態が RNA の立体構造変化に応じて変化することを実証した。スウェーデン王立工科大学との国際共同研究による成果。

 シアニン蛍光色素は、光励起に依存して分子構造の異性化を起こし、動的に消光する(蛍光明滅する)ことが知られている蛍光色素。北村講師らは、この蛍光明滅の速度と蛍光を発する状態の割合から生きた細胞内における生体分子の構造変化検出に使えないかと考えた。
 
 蛍光明滅状態を短時間・定量的に測定できる手法のTransient state monitoring(TRAST法)を用いて、RNAの立体構造の一つであるグアニン四重鎖(Gq)の生細胞内検出に成功した。さらに生細胞内でRNA分子の運動性が溶液中よりも低下した状態であっても、TRAST法を用いることで細胞内へ導入した蛍光標識RNAのGq構造を読み出すことに成功した。

 同研究成果は23年1月18日公開の「Nucleic Acids Research」誌にオンライン掲載された。

ニュースリリース参照
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/230119_pr.pdf