2023年01月23日 |
北大、効率的な環状ペプチド 化学-酵素合成法開発 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:北海道大学 |
北海道大学大学院 薬学研究院の脇本敏幸教授らの研究グループは、非リボソームペプチド環化酵素を用いて環状ペプチドを効率的に合成する化学-酵素法を開発したと発表した。 ペプチドの環化反応は多量体化反応と競合する難度の高い反応であり、なかでも組織移行性に優れる10残基程度以下の短いペプチドの環化は、有機合成的にも酵素的にも困難だ。 研究グループはこれまで新しいタンパク質ファミリーの非リボソームペプチド環化酵素を世界に先駆けて発見し、詳細な機能解析を行ってきた。今回、これまでボトルネックとなっていた煩雑な基質合成法を改良し、ペプチド固相合成と酵素による環化反応をシームレスに実施できる環状ペプチドの化学・酵素合成法を確立した。 さらに、野生型酵素の探索や論理的な酵素触媒の改変により、合成できる環状ペプチドの多様性を拡張した。 これによって、環境調和性の高い環状ペプチド製造に向けた技術基盤を提供する。また多数の基質を簡便に調製可能となったことから、今後、非リボソームペプチド環化酵素を生体触媒として応用する開発研究が一層加速することが期待できる。 同研究成果は23年1月13日公開の「Journal of the American Chemical Society」誌にオンライン掲載された。 (用語の解説) ◆非リボソームペプチド : リボソーム以外の仕組みによって生合成されるペプチドの総称。 (発表の詳細) https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/230120_pr2.pdf |