2023年01月31日
住友化学、米国の天然由来農業資材メーカー買収
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:住友化学

 住友化学は31日、バイオラショナルの一つであり、天然物由来の農業資材であるバイオスティミュラントを手掛ける米国の FB サイエンス社(FBS 社)を買収すると発表した。

 バイオラショナルの市場規模は世界全体で約 100 億ドルと、化学農薬の10分の 1程度だが、世界規模の環境意識の高まりの中で、今後、需要の拡大が進む見通し。
 
 バイオスティミュラントは、作物や土壌が本来持つ力を引き出す効果を有する天然物由来の農業資材で、バイオラショナルの中で最大市場規模(約 35 億ドル)を有し、年率2けたという高い成長を続けている。また、非生物的ストレスに対する防御機能を誘導することによって、作物の健全な成長を促進し、栄養素の吸収を促進することで作物の品質改善や収量を増加の効果がある。これにより、化学肥料の効率的な利用が促され、その施用量を低減することも可能になる。

 住友化学は、バイオラショナル事業の将来性に早い時期から着目し、2000 年に米国アボット・ラボラトリーズ社から同事業を買収した。その後、米国子会社のベーラント・バイオサイエンス社を拠点として、継続して事業の強化・拡大に努め、14 年に米国に微生物農薬原体の製造工場を設立、15 年に米国の根圏微生物事業会社を買収、18 年にバイオラショナルリサーチセンターを建設、20 年にグループの主要海外拠点にバイオラショナル専門の販売組織を設置するなど、戦略的な強化策を加速してきた。

 FBS 社は、天然有機物を独自の方法で調達、加工したバイオスティミュラントや農薬の開発・製造・販売を行っている。豊富な試験データとともに50 以上の異なる作物に適用可能な製品や技術を保有しており、10 年以上にわたり商業的実績を積み上げてきた。住友化学は、今回の買収をバイオスティミュラント分野への本格参入の一歩と位置づけ、同事業の拡大とともに化学農業との新たなシナジーを追求していく方針だ。

◆バイオラショナル :住友化学では、天然物由来などの微生物農薬、植物生長調整剤、根圏微生物資材などや、それらを用いて作物を病害虫から保護したり、作物の品質や収量を向上させたりするソリューションをバイオラショナルと定義している。

ニュースリリース
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1675127644.pdf