2023年02月03日
北大、構造最適なペプチドスキャニング法開発
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学大学院 薬学研究院の市川聡教授らの共同研究グループは2日、ペプチドの創薬展開を迅速に実現できる新たなペプチドスキャニング法を開発したと発表した。

 近年、医薬品の開発ではペプチドが注目されている。開発する方法として、ペプチドスキャニング法を用いて、ペプチドの構造修飾を行う手法が知られている。この構造修飾は二段階に分けて行われるが、二段階目では、目的のペプチドを一から作り直す必要があるため、簡素化が求められていた。

 今回研究グループが開発した方法は、ペプチド中の活性に重要な部分の同定と、その部分に対する構造修飾をシームレスに実行することができる。生物活性評価直前での化学合成と組み合わせることで、数百の誘導体の一挙合成も可能だ。また、同研究で開発した方法を抗菌ペプチド系天然物に用いることで、薬剤耐性菌に有効な誘導体や、元々の天然物とは異なる抗菌スペクトルを示す誘導体を獲得することに成功した。
 
 これまでのペプチド創薬研究では、構造最適化のために数多くの試行錯誤が必要だった。本研究は、この構造最適化の工程を大幅に削減できることから、新規ペプチド医薬品を開発する方法の一つとして広く活用できると期待できる。

なお、同成果は1月28日付「Journal of the American Chemical Society」誌にオンライン掲載された。