2023年02月06日 |
北大グループ、自然界に新規グルコース発見 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:北海道大学 |
北海道大学大学院 農学研究院の奥山正幸教授らの研究グループはこのほど、α-L-グルコシドを加水分解する酵素、α-L-グルコシダーゼを発見したと発表した。 理論上グルコースには、鏡像関係にあるD-グルコースとL-グルコースが存在する。自然界にはD-グルコースのみが存在しており、L-グルコースは存在しないとされてきた。またグルコースの多くは、澱粉やグリコーゲン、セルロースのように脱水縮合したグルコシドの形で天然に存在するが、これらはすべてD-グルコースによって構成されている。 今回発見したα-L-グルコシダーゼはα-L-グルコシドを選択的に加水分解するタンパク質構造と機能を有している。また本研究では、α-L-グルコシダーゼを用いた新規α-L-グルコオリゴ糖の合成にも成功している。 オリゴ糖は腸内環境を整えることで人々に健康をもたらすプレビオティクスとして知られている。α-L-グルコオリゴ糖にも同様の生理活性が期待される。本研究によって自然界にα-L-グルコシドやその分解生成物であるL-グルコースが存在する可能性が高まった。 今後α-L-グルコシダーゼに加えて、α-L-グルコシド分解・合成酵素の探索や機能・構造解析、α-L-グルコオリゴ糖の生理機能解明研究など、新しい学問分野への発展に繋がることが期待される。 なお、本研究成果は、2022年12月9日公開の「ACS Omega」誌に掲載された。 【用語の解説】 ◆ α-L-グルコシダーゼ : 非還元末端に存在するα-L-グルコシド結合を加水分解する酵素。澱粉やショ糖のα-D-グルコシドを加水分解するα-D-グルコシダーゼは、動植物、微生物界に広く存在するが、α-L-グルコシダーゼは、本研究で初めて同定された。 (ニュースリリース) https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/230123_pr.pdf |