2023年02月08日 |
東北大など、植物ホルモンの役割を証明 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:東北大学 |
東北大学の鈴木秀政 生命科学研究科特任助教らの研究グループは7日、植物ホルモン・オーキシンが、その受容体タンパク質を介した遺伝子発現調節を通して、3次元的な形態の構築に必須の役割を果たす一方で、生存そのものには必須ではないことをつかんだと発表した。植物体の頂端にある幹細胞を基点として器官を形成する3次元的な発生様式は、陸上植物の共通祖先において獲得されたと考えられており、維管束植物とは分岐したコケ植物でも見られる。 今回、遺伝子冗長性が低く、オーキシン受容体遺伝子を1つしかもたないゼニゴケを用いてオーキシン信号伝達を完全に働かないようにしたところ、明確な器官を全くもたない細胞塊が形成された。これは、この受容体を介したオーキシン信号伝達が形作りに必須の役割をもつことを明瞭に証明すると同時に、ゼニゴケ細胞の生存や増殖には必須ではないという、意外な事実も明らかにした成果となった。 本研究で深まった、植物の最重要ホルモンと言えるオーキシンの機能の理解を通して、今後の陸上植物の発生研究のさらなる発展や、穀物や野菜を含めた種々の植物の器官の形や数などを緻密に制御する技術の開発につながると期待される。 本研究成果は、2023年2月2日に、国際誌「The Plant Cell」オンライン版に掲載された。 ◆オーキシン :植物ホルモンの一つ。主な天然オーキシンは、インドール-3-酢酸。植物の胚発生、根・葉・花などの器官形成、果実の発達、光や重力に対する屈性反応など、植物の成長・発生・環境応答を調節する。 (発表の詳細) https://www.kyoto-u.ac.jp/sites/default/files/2023-02/2302_kawauchi-ce21d9ba6b4a5c76b240579a351cfc06.pdf |