2023年02月13日 |
北大、微生物に分解されない有機物 深海熱水に発見 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:北海道大学 |
北海道大学 地球環境科学研究院の山下洋平准教授らの研究チームは13日、東太平洋の深海熱水域から熱成炭素である溶存黒色炭素が供給されていることを明らかにしたと発表した。 森林火災や化石燃料燃焼に伴い、不完全燃焼産物である煤や炭などの熱成炭素が生成される。熱成炭素の一部は、水と共に移動可能な形態である溶存黒色炭素に変質し、河川や大気を経由して海洋へと輸送される。 海洋中では、溶存黒色炭素は太陽光により分解もしくは沈降粒子に吸着され、除去される。だが、海洋への溶存黒色炭素の年間の供給量はその除去量よりも小さく、海洋には溶存黒色炭素のミッシングソース(未知の供給源)があると指摘されていた。 研究グループは今回、学術研究船(白鳳丸)で東太平洋を中心に観測を行い、高温かつ高圧である深海熱水域で生成された溶存黒色炭素が深海に供給されていることを世界で初めて明らかにした。同研究成果は、難分解な溶存有機物である溶存黒色炭素が深海熱水域から供給されていることを示している。炭素循環における溶存有機物の役割を理解する上で貴重な知見となる。 なお、同研究成果は2月11日付「Science Advances」誌にオンライン掲載された。 <用語の解説> ◆熱成炭素とは : 森林火災や化石燃料燃焼の不完全燃焼に伴い形成される、煤や炭などの炭素に富んだ物質のこと。高温かつ高圧な深海熱水域でも炭素化合物であるグラファイトが形成するとされている。 (詳細) https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/230213_pr.pdf |