2023年02月27日
筑波大など「海氷発生量の変動メカニズム」解析
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 筑波大学の植田宏昭教授(生命環境系)と北海道大学の三寺史夫教授(低温科学研究所)らは24日、オホーツク海の海氷の発生量が年ごとに変動するメカニズムを解析したと発表した。

 シベリア高気圧、アリューシャン低気圧、太平洋などで構成される「環オホーツク気候システム」を、長期の観測データ(全球大気データや人工衛星データ)に基づいて調査し、海氷の発生量が年ごとに変動するメカニズムを解析した。

 海氷が平年よりも多い年は、アリューシャン低気圧が北太平洋の全域で強まっていた。シベリアからの北西風(寒気流)がオホーツク海上で強まり、寒気の蓄積量も多くなっていた。一方、海氷が多い年はエルニーニョ的な海水温分布になっており、アリューシャン低気圧の強化とも連動していることが確認できた。海氷が少ない年の熱帯域では、ラニーニャ的な海水温分布になっていた。

 さらに、海氷が多い年は、海氷の面積が増え始めてから数カ月後に、アリューシャン低気圧が強まることが分かった。アリューシャン低気圧の強化は、ユーラシア大陸からの寒気の流入を促進する。このため、寒気蓄積→海氷増加→アリューシャン低気圧の強化という連鎖的な季節進行は、海氷の維持につながる正のフィードバック関係にあることを示唆している。

 今後、この海氷の変動機構のメカニズムをさらに解明することで、季節予報の精度向上や温暖化予測の理解が深まることが期待できる。

ニュースリリース
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/230224_pr5.pdf