2023年03月06日
北大、「寄生虫に感染した魚は釣られにくい?」
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学 地球環境科学研究院の小泉逸郎准教授はこのほど、“寄生虫に感染した魚は釣られやすくなる”とする研究結果を発表した。寄生虫の感染が魚の釣られやすさに影響することを初めて科学的に実証した。

 寄生された淡水魚イワナは肥満度に応じて釣られにくくなったり、やすくなったりした。
 寄生虫に感染された魚が釣られやすくなるかどうかは、これまで全く注目されてこなかった。一般に、寄生虫は宿主から栄養を奪うため、宿主の活動性が低下し感染魚は釣られづらくなると予測できる。
特に今回研究の対象種は口腔内に寄生するため、宿主魚類の採餌の邪魔になるとも考えられる。

 そこで研究チームは、サルミンコーラに寄生されたイワナが実際に釣られづらくなるかどうかを調べた。調査の結果、寄生されたイワナの釣られやすさは魚のコンディションによって異なり、痩せている感染イワナは釣られづらくなり、逆に太っている感染イワナは釣られやすくなることが明らかとなった。

 前者は餌を追う体力がなく活動性が低下するため、釣られなくなったと考えられる。一方、後者は寄生虫の感染により消費するエネルギーを補償するために積極的に餌を食べるようになった可能性がある。

 今回研究の成果は、寄生と魚の釣られやすさの関係を科学的に示した。また、今回の仮説が正しければ、釣れた魚には寄生虫がついている可能性が低いということになり、釣りの愛好者にとっては朗報となる。同研究成果は2月21日公開の「The Science of Nature」誌にオンライン掲載された。

ニュースリリース
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/230302_pr2.pdf