2023年03月09日 |
広島大など「大気汚染と脳梗塞の予後」調査 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:広島大学 |
「大気汚染下で生活していると、脳梗塞を発症したときの入院日数が延びる」、「発症後の致死率も増加する」との調査結果を広島大学、慶應義塾大学、徳島文理大学、東京医科歯科大学、宮崎大学などの研究グループが発表した。大気汚染が脳梗塞の予後に影響することを証明した。 研究グループは、脳梗塞モデルマウスを用いた実験で、PM2.5 を吸い込むと脳内で炎症が生じ、この炎症が原因で脳梗塞の予後が悪化することを明らかにした。さらに PM2.5 に含まれる多環芳香族炭化水素が脳への炎症を引き起こしていることも示した。 日本では環境基本法によりPM2.5 の環境基準が定められているが、この基準は PM2.5 の呼吸器影響や循環器 影響に係る知見から主に審議されたもので、PM2.5 による神経系への影響については、基礎科学的な立ち位置に加えて、行政面からも検討が進められる必要があるとしている。 同研究成果は2月16日付にネイチャー社の専門誌「Particle and Fibre Toxicology」に掲載された。 <用語の解説> ◆ PM2.5 とは: 微小粒子状物質(PM2.5)は、大気中に浮遊する小さな粒子のうち、粒子の大きさが 2.5ミクロン(μm)以下のものを指す。ボイラーや焼却炉、自動車のエンジンなどの燃焼によって生じるが、土壌や火山など自然由来に生じるものもある。 |