2023年03月16日
東北大、植物の栄養繁殖を制御するホルモン発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

 東北大学生命科学研究科の経塚淳子教授らの研究グループは、コケ植物ゼニゴケのクローン繁殖体である無性芽の形成は植物ホルモンKAI2-ligand (KL) によって決定されていると発表した。栄養繁殖の調節機構の起源や進化の解明につながる発見としている。

 多くの植物は種子だけではなく、葉や枝、根などから殖える「栄養繁殖」でも旺盛に増殖する。環境に応じた効率よい栄養繁殖システムを進化させている。だが、栄養繁殖を適宜実施する仕組みについては未解明な部分が残されていた。
 
 ゼニゴケは、人類にとって身近なコケ植物の代表。ゼニゴケの栄養繁殖では無性芽と呼ばれるクローンが多数形成され、それぞれの無性芽が新たな個体に成長し、さらに多数の無性芽を形成するというサイクルが繰り返される。このためゼニゴケは栄養繁殖によって驚異的に増殖する。

 経塚教授らの研究グループはこのほど、植物ホルモンKAI2-ligand (KL) が無性芽形成ホルモンであることを発見し、環境情報に合わせてKL信号のオン/オフをコントロールすることにより栄養繁殖の程度が調節されていることを世界に先駆けて明らかにした。これは、陸上植物の旺盛な繁殖力の起源解明にもつながる大きな成果といえる。同研究成果は2023年3月2日、「Current Biology」誌 (電子版) に掲載された。

ニュースリリース
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2023/cate_press/