2023年03月16日
広島大、化学物質を感じて自発的に動く物体構築
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:広島大学

 広島大学大学院統合生命科学研究科・数理生命科学プログラムの中田聡教授らの研究グループは、リズムとパターンに関する学問「非線形科学」に立脚して、あたかも生き物のように振る舞う、自発的に動く無生物の物体(無生物自己駆動体)を構築したと発表した。
 
 これまでは、ランダムな運動や化学刺激に向かって進行する化学走性など、自律性の低い単純な運動しか再現できなかった。今回本研究では、桜の葉の香り成分の一つであるクマリンを駆動体分子として用いたところ、生物が示す正と負の化学走性の繰り返しと環境に適合した様々な運動モードを示す、自律性の高い無生物自己駆動体を分子レベルから構築することに成功した。

 将来的には、バクテリアの鞭毛モーターのように、手の届かないミクロな空間における再帰的かつ自発的な物質輸送や、自律的なマイクロリアクターの開発など、応用研究への展開が期待される。

同研究成果は学術誌「Journal of Colloid and Interface Science」(23年2月6日付)にオンライン掲載された。